私はここ数年、自営業者としてプログラマをやっています。
自営業で長くやっていく為には、最低限の「プライド」と言いますか、独力で生きてるんだぞという「気概」を持つことがとても大切です。
しかし、どんな世界でもそうだと思いますが、行き過ぎたプライド、不要なほど大きくなり過ぎた自尊心は、利益的にも人間関係的にも邪魔ものにしかなりません。
無いと困るけど、大きくなり過ぎるとそれも困る。プライドというのは、そういう扱い辛いものだと認識しています。
私はプライドが無駄に高い方なので、なんとかそれを低く抑えようと手を焼いています。手を尽くして、ようやく今のような状況なわけです。ふぅー。
今回は私がプライドを低く保つ為に実践している(たまに忘れてるけど)ことを挙げてみたいと思います。試行錯誤してきた中で効果があったと感じている手法なので、無為なものではないと思われます。
尚、この記事は、「プライドが高い」の対義語を「謙虚」であると仮定して記述しています。
1. 感謝する回数を無理矢理増やす
プライドに振り回されていると、ついつい感謝を忘れがちになります。逆に感謝をする回数を増やすとプライドの肥大化が抑制される傾向にあるようです。
具体的な手法として「今から何かに感謝してください」と自分自身に向かって言ってみます。それを受けて自分は周囲を見回して何か感謝できそうな対象を探します。そして何か適当なものを見つけて感謝の念を発生させます。
対象は人間じゃなくても良いです。動物でも植物でも有機物でも無機物でもなんでもいいです。個人的には無機物の方がやりやすいと思っています。
1日に最低1度、例えば寝る前に「今日1日が無事過ごせたことを」、食事の前に「今日も飢えることなく生きられることを」、通勤時に「風景が綺麗だということを」、などなど、いろいろ感謝してみましょう。割と効果があると思います。
2. 「ありがとう」と言う回数を無駄に増やす
人は言葉を使役しているようでいて、実は言葉に使役されることが多くあります。例えば「疲れた、疲れた」と言っていると本当に疲れたような気持ちになったり、「面白い、面白い」と言っていれば胃が痛くなるような困難な仕事も、それほど苦痛を感じずにこなせたりします。
それが口先だけの「ありがとう」だったとしても、繰り返せばその言葉に使役されて、感謝の心が生まれてくれるかもしれません。
コンビニで買い物したらレジの人にどもーと言ったり、仕事で誰かと一緒に作業したらありがとうと言う。そうやって感謝の言葉を安売りして、それに振り回されるのは1つの良い方法ではないかと思います。その時、本当に感謝の念をこめた方が効果が高いのは言うまでもないことですが。
3. 自分は社会の底辺だと思ってみる
卑下じゃなく現実問題として、例えばプログラマとしてであれば、ヴァンロッサム(Pythonの作者)とかを頭に思い浮かべて、それと比較した場合に自分がいるポジションってどうよと考えれば、もう底辺以外の何者でもないですよね。
思い浮かべるのは、自分が虫けらだと思えるくらい偉い人なら誰でも良いです。松下幸之助でもスティーブ・ジョブズでも、なんなら偉い人を片っ端から想像しても良いです。
俺はラリー・ペイジよりもエリック・シュミットよりも(双方ともGoogleの創業者)優れてるし、自分以上の人間なんて思い浮かばないなぁという人は、この方法は適用できません。是非、そのプライドを胸に突っ走ってください。
私の場合は自営業者なので、資本金を比較するという手も使えます。自分と取引先の会社の規模を見比べてみれば、どんな相手だって格上です。相手が上場企業だった時には、もう自分なんか豆粒です。吹けば飛びます。肩をトントンと叩かれて、それだけで契約切られます。自分の預金を相手企業の時価総額で割ったら、浮動小数で何ビット必要になるんだって感じです。
そう考えると、少しは謙虚になれます。
4. 偉人と呼ばれるような人の話を読み聞きする
「この人凄い」とか「この人には適わない」と思えるような人と触れていると、自然と謙虚になれます。
人は自分自身を評価する時、他人が評価するよりも10%〜20%ほど高めの答えをしてしまうそうです。
自分を20%増しで評価していた場合、例えば自分の周囲に自分より15%増しくらい有能な人がいても、自分の方が有能だと錯覚してしまいます。
自分を高く評価し過ぎてしまう人が、他人と見比べて謙虚になるには、5%や10%といった差じゃなく、もう負けを認めるしかないような、当社比200%くらいビッグな相手に触れるのが手っ取り早いです。そうすれば、ああ、自分は全然ダメな人間だなぁと謙虚な気持ちになることができます。
もちろんそこで「私はダメだ」で終わらず、現在の当社比200%をせめて150%くらいまでにはしてやろうと努力するのが良い流れです。
そんな200%増しの、圧倒的に凄いと思える人と触れようと思った場合、偉人とか物語の中の相手を想定するのが便利です。
5. 他人の尊敬できる点を見つける
他人と自分を比べた時、プライドが高い人は、つい相手の劣った点に目が行きがちです。
自分より劣ると感じている相手に触れていると、プライドの肥大化を招き易いので、相手の優れた点、尊敬できる点を意識して見つけるようにします。「この人の中で自分より優れている箇所はどこだろう」と、そういう視点で意識的に人を見る癖をつけます。
相手の方が優れていると思える点はたくさんあります。それは自分よりも背が高いとかファッションセンスが良いといった見た目的な部分でも良いですし、相手の専門分野を聞きだしてみると実は大学で地域風土を研究していて西東京地方については大学教授レベルで詳しいとかレアで面白い長所を引き出せるかもしれません(それを優れていると感じられるかどうかは別として)。
相手の長所に触れようとしていると、相手に対してより敬意の篭った接し方が出来るようになったり、相手の良い点を吸収出来たりするなど、良い効果があります。
6. 他人を尊敬できるポイントを増やす
人にはそれぞれ尊敬できるポイントみたいなのがあって、例えば私は「競馬廃人」や「ネトゲ廃人」を尊敬する傾向があります。一歩間違えば自分もそういう道を歩んでいたので、その道を突き進んだ人に対して「偉いなぁ」と思えたりするようです。逆にファッションとかは全く興味がないので、ファッションデザイナーさんとか紹介されても「はぁ、そうですか」としか思えません。
自分自身の中にある「他人を尊敬できるポイント」を認識して、それの数を増やすことで、今よりもたくさんの人を尊敬できるようになります。
尊敬できるポイントを増やすには、興味を増やすことが有効です。興味を持っていないことに対して尊敬するのは難しいですが、興味があること、自分が少しでも手をつけたことがある分野なら、相手を尊敬し易いです。
7. 尊敬できなさそうなものは見ない
テレビのバラエティ番組でバカであることを売りにしている人を見てると自分は頭がいいんじゃないかと錯覚するかもしれないし、ポータルサイトのトップニュースに出てる他人をこき下ろしている記事を見ていると自分が他人を批判できるような一段高い人間のように錯覚するかもしれません。
他人が自分よりも下に見えるような演出がされている可能性があるものには触れないで、「こいつ凄い」とか「これは真似できん」と思うようなものばかりと触れていれば、下手な増長を招かずに謙虚な状態を保てます。
以上、プライドを低く保つ為の7つの方法でした。
ここに並んでいる項目を意識している間はけっこう謙虚な人間でいられる気がします。ふと忘れると、あっという間に無駄にプライドが高い人間に逆戻りして困ることもありますが。