2009年08月05日

マネーボールを読む

今日は知り合いと映画を見に行って、帰りにブックオフに立ち寄る。そこで立ち読みを始めたらいつの間にか23時になっていた。恐るべし、ブックオフ。

読んでたのはマネーボール。少し古い本ですが、当時は結構話題になってました。

メジャーリーグの中で下から数えて何番目という低予算クラブ、アスレチックスが、数年にわたってヤンキースと同等の成績を残したことを取り上げたお話。

「チームの得点と打率には因果関係はない」とか「チームの得点は、出塁率+長打率÷3」に比例する(最近はNOIと言われてるヤツ)という、今では割とポピュラーなデータを使うことで、実際よりも低く評価されている選手を割り出し、その選手を得ることで低予算でチームを強化する。

ノーアウト一塁とワンアウト二塁のケースを比較した際では、ノーアウト一塁の方が得点率が高いことから、送りバントは無駄な行為として禁止。アウトになる機会を減らす為に盗塁も禁止する。

そういう統計、確率に頼ったチーム運営をすることで、低予算でも好成績を収めることができたという話である。

こういう公式の深みにハマると、相手投手のDIPSによって送りバントの効率は変化するのかとか、盗塁成功率は何%以上であれば得点率上昇に寄与するのか等、さらなる分析をしたくなるのが人の常で、セイバーメトリクスで検索すると実にたくさんのデータが出てくる。

実際に昨年のセリーグのデータをから、チームのシーズン総得点、NOI、打率を並べるとこんな風になる。

チーム得点NOI打率
巨人631.465.266
ヤク583.456.266
阪神578.459.268
横浜552.451.266
広島537.441.271
中日535.446.253


完全に比例はしないが、打率よりは関連が深そうな数字だということが分かる。


こういう数字を見ると、統計データと自分が感じている感覚がどれだけズレているかを再認識できます。統計も時には嘘をつくので(集計した範囲において偶然発生した特徴を拾ってしまったり、数字は正しいがそこから結論を導き出す間に飛躍があったり)、何が真実なのかは正直よく分からない。

この世界は、経済学者は経済を正確に理解できていないし、物理学者は全ての物理的な現象を解明してはいないし、政治家はどの政策を実行すれば景気が回復するか分かっていないし、プログラマは作り上げたシステムの全てのコードがどういった演算をCPUに課しているのか知らない(たいていの場合は全コードを把握しきれてもいない)。

医者は何が健康に良いのか確実に判断できるわけではないし、トレーダーは株の正しい値段を知っているわけではないし、法学者は全ての法律をそらんじているわけではない。

自分はそういったとても無知な存在であるわけだけど(もちろん野球に関する知識は素人だし、本業のプログラマとしてすら中途半端だ)、1つでも多くセオリーを知っておけば、五分五分の確率であるはずの賭けを七分三分で勝てるくらいには引き上げることは出来ると思う。麻雀をやる時に、闇雲に打つのと壁や初牌あたりを意識しながら打つのとでは、振り込む率が変わる程度には。