日本もアメリカもレギュラーシーズンをほぼ消化し終わり、個人記録も出揃いました。
その中で、今年、過小評価されて報道されそうな日本人打者を5名ほど挙げてみました。
選び方はけっこう適当です。パッと見でこの人は低めに報道されそうだなぁと思った人を選んだ感じです。
以前、説明した通り、野球における「打撃3部門」(打率、本塁打、打点)は、チームの総得点と直接的な因果関係のない微妙な数字です。
チームの総得点は「1.8×出塁率+長打率」に比例するという指標を最近よく見かけます。この辺の指標はいろんなものがあるのでどれが正解かは分かりませんが、少なくともチームの総得点は出塁率と長打率に強く関連しているようです。
日本では打率が重視される傾向がある為、「打率が低く出塁率が高い」選手が過小評価されて報道されるケースが目に付きます。
また、打席に立った回数も重要です。例えばGPA((1.8×出塁率+長打率)÷4)が3割の打者がいて、そのチームのGPAが2割7分だった場合で、打席数が500だった場合と600だった場合とでは、チームのGPAを引き上げる量に差が出ます。もちろん、得点に寄与する量も変わります。
それらの貢献も考慮したうえで、選手がどの程度得点に寄与したかを算出した数値に、RCがあります。その派生のRC27はとても分かり易い指標で、もしその選手だけが1試合の全打席に立ったとしたら何点取れるか、という数字になります。
例えば巨人の小笠原選手だけが打席に立って試合をした場合、今年の成績だと計算上は1試合平均7.6点取れるそうです。
と、最近はそんな感じで得点と数字の相関関係が語られることが多いわけですが、それを基にして考えた場合に、今年過小評価されそうな選手が、こちら5名。
福留孝介(.259 11本 54打点)
3部門とも非常に寂しい成績が並んでいます。ところが出塁率は打率よりも1割以上高い、.375(チーム2位)。長打率も.421を残しています。
この.375という出塁率ですが、どのくらいのレベルかというと、イチロー選手が.386、松井選手が.367。ちょうど2人の間という成績になります。日本では2005〜2007年まで連続して.430を超える驚異的な出塁率を残していた選手だけに、この数字でも少し寂しいものが残るところですが。
金本知憲(.261 21本 91打点)
打率、本塁打は少し物足りなく見えるかもしれませんが、出塁率は.368とリーグ7位、長打率はリーグ12位の.454とどちらも高い数字を残しています。四球が88個とリーグトップ(2位は青木選手の75個)であることを見ても分かる通り、この成績は後ろの打者が不調だった為に勝負されることが少なかった結果と言えそうです。
ガイエル(.267 27本 80打点)
一部で話題になっているヤクルトの外国人選手、ガイエルさん。出塁率は.367と、打率よりも1割上。OPSやGPAでは首位打者のラミレス選手や二冠を取ったブランコ選手よりも高い数字を残しています。試合数が少ない為、RCは若干低いですが、今年最高の成績を残した外国人打者の1人と言えそうです。
井口資仁(.281 19本 65打点)
怪我もあって出場試合数が123試合しかないのがマイナスですが、出塁率は打率よりも1割1分も高い.391(リーグ4位)。長打率も.475と高い数字を残しています。出塁率と打率の差が1割以上ある選手は、ざっと見たところではセリーグで金本選手、ガイエル選手の2人。パリーグでは井口選手、西岡選手の2人しか見当たりませんでした。
青木宣親(.303 16本 66打点)
序盤は不振だと言われていましたが、最終的には12球団唯一の出塁率4割を記録しました。去年よりも全体的に数字は下がっていますが、下がってこの数字か、という感じです。
以上です。
ちなみに今年はセリーグの打撃三部門のタイトルが外国人選手で独占されましたが、GPAやRCで見ると今年最高の打者は小笠原選手か和田選手で、ラミレス選手はそれより僅かに落ちる数字。ブランコ選手はさらにもう少し落ちる数字になります。あれ、上2人がパリーグから来た人だ。
というわけで、打者編は終了です。投手編はたぶん作りません。投手の指標は難しいんですよね。どの指標で見てもダルビッシュ選手は凄いということくらいなら分かりますが。
【参考URL】NPBプロ野球をセイバーメトリクスでもっと楽しもう!
http://sabermetricsjapan.com/pitchers-kitei.html