2010年01月09日

ベンチャーを買うことと内製について考える

自社に十分な技術力があっても、内製するよりベンチャー企業を買収した方が得な理由を考えるテスト。

思考をまとめる為に書いてるので、いろいろ定義が抜けてます。



大企業の開発は三重苦を伴う。

1. 社員の給料
大企業は中小やベンチャーと比べて給与水準が高い。

2. 社内風土や信頼という足かせ
会社のイメージを潰すような真似ができないという、発想への足かせが常に存在する。ベンチャーならそんなことは気にする必要はない。

3. 実行するまでの複雑な手続き
大企業が物を作る際、個人が「これが作りたい」と思って感動的なプレゼンを一発打って、すぐに予算が出て製作に入る、なんてことは少なく踏まなければいけない手順が多い。

これらの条件から、例えその起業が優秀な人材をいっぱい確保していたとしても、良い開発が出来るとは限らない。特に2番の「信頼」に関する足かせはこの国ではとても強い。少し法務や倫理に触れる恐れがあることはすぐに差し止められてしまう。


それだけでなく、ベンチャーを買収した場合は「既に形になっていて成功しつつあるものを入手できる」ので、買収する金額はそれに見合ったものが設定できる。

自社で開発する場合は、買収に比べて3つの余分なリスクがかかる。

1. そのサービスは需要があるのか
これから作成しようとしているものがまだ世に出ていない段階なので、需要があるかどうかの判断ができない。買収であれば既に顧客がある程度ついている状態なので、需要の予想がし易い。

2. 開発に失敗しないか
優秀な人材を集めて切り出したプロジェクトでも、技術的に可能だと思っていたことが実は不可能だったとか、中心メンバーの病気や退職などで失敗に終わる可能性は必ずある。また、開発費用が想定よりかさむこともざらである。

3. 会社イメージを損ねたりはしないか
最近はちょっとしたジョークのつもりでやったことが、マスコミやネットユーザの標的になり会社イメージを大きく損ねるケースがある。男の子牧場などは良い例。既に稼働しているサービスであれば新規サービスよりはそういった危険性が少ない。


また、ベンチャーは大企業に比べて安い制作費でそれを作っている。それは人件費だけではなく、以下のような話も関係している。

1. 大企業はたくさんの事業を進め、その中からいくつかの成功作を作り出す(同時に多くの失敗作も作り出す)

2. ベンチャーは多くの事業に手を出す余裕はないので、少しの事業に手を出し、運が良ければその中から1つの成功を作り出す(作り出せなかったベンチャーは消えていく)

Appleだって、Microsoftだって、Googleだって、たくさんの失敗作を作り出している。そして失敗によって失った投資は、成功作によって得た収入によってカバーされる。

対するベンチャー起業は失敗すれば、潰れるなり社長が無給になるなり投資した人が大損するなり、関わった当人たちにしわ寄せが行く。そしてその中で成功した僅かな起業は投資に比べて格段に高い利益を上げることができる。


そう考えると、例え優秀な人材を集めた大企業が高い確率で事業を次々に成功させていったとしても、一発を狙って成功したベンチャーよりも効率良くというわけにはいかない。


というわけで、結論。

大企業がベンチャー買うのは、その企業に技術力がないからとかじゃないんだよ。立っている土俵が違うだけなんだよ。

だから下手に内製にこだわるよりも、もっと外注とかアウトソースとか買収とかが世の中的に受け入れられる国になってくれたら、私の商売的にありがたい。

うん、それが言いたかっただけなんだ。すまない。