最近、りんごの名を冠したとあるリゾート施設が規約を厳しくして、一部の会員の入場を断るようになったそうな。
規約を厳しくすることの利点はわかる。そのリゾート施設は箱庭の中を砂場にしたくはないのだろう。洗練されてコントロールされた施設であることは、その企業の戦略から考えてもとても重要なことだ。
一方、新しいものを作り出す人達は砂場を求めていた。そこに砂場を作れば、たくさんの造形物が産まれて施設の価値を増すことができるかもしれない。
しかし必ずしも良い砂場がある施設が、コントロールされた施設よりもユーザにとって優しくなるとは限らない。砂場を提供することによって施設が汚れてしまった時、信頼を落とすのは砂遊びをしていた人間だけではない。施設自体も同時に信頼を落とすことになる。
隣に目を移せば、そこにはリゾート施設ほどは洗練されていないけど、誰でも自由に遊べる砂場が用意された公園がある。
その公園を運営している会社には、砂場の使い方に対して規約を儲けることはevilだと思うような社風がある。だからおそらく、これからも砂場は自由であり続けると思われている。
これから数年間に渡って、洗練されたクローズドな施設と、十分に解放された砂場のある公園とが競い合うことになる。特許や法律まで絡んだ熾烈な争いになるだろう。
私は砂遊びが好きな人間だから、潔癖過ぎるリゾート施設は好きにはなれない。でも、どちらの施設がユーザに支持されるのかは、正直、よくわからない。
どうしてペンギンはあの窓を飛び越えることができないのか。今、私がそんな風に感じているように、もしかしたら5年後に、どうして砂場はリゾート施設を超えられないのかなんて考えているかもしれない。
どんな結果になるにしろ、2つの世界が競争し合う姿を見るのは、悪い気はしない。それが技術の進歩を阻むような泥沼の法廷闘争でなければ。