2010年06月04日

日記的なもの

過労で2日ほど寝込む。人間には限界がある。限界を超えたいと願うのは勝手だけど、出来ないことをやろうとして仕事に穴を開けるのはよくない。とりあえず来週中にはちゃんと塞ごう。

煮詰まりながら文章を書いている時に、ふと、村上春樹の小説に出てきた「雪かき」という言葉を思い出した。



 それはWeb開発にこれから関わろうとする人のために流行している言葉を紹介するという企画だった。僕と編集さんとで用語をピックアップし、僕が文章を書き、スナップショットを取る。全部で250ページ。
 出版社というのはそういう記事を求めているし、誰かがそういう記事を書かなくてはいけない。ごみ集めとか雪かきと同じことだ。だれかがやらなくてはならないのだ。好むと好まざると。
 僕は半年間、こういうタイプの文化的半端仕事を続けることになった。文化的雪かきだ。

<中略>

 雪かきと同じだった。雪があれば僕はそれを効率良く道端に退かせた。
 一片の野心もなければ、一片の希望もなかった。そこにある用語(そのうちのいくつは3年もしないうちに使われなくなる)を片っ端からどんどん索引に入れていくだけのことだ。
 正直に言ってこれは人生の無駄遣いなんじゃないかと思うこともないではなかった。でもパルプとインクがこれだけ無駄遣いされているのだから、僕の人生が無駄遣いされたとしても文句を言える筋合いではないだろう。そこでは無駄遣いは美徳なのだ。



プログラムを組む上では願望とか希望とかが必要になる。俺はこんなシステムを作りたいんだという気持ちがなければ、良いものは出来上がってこない。

でも、雪かき的な文章を書く時は、そこに希望や願望をこめてはいけない。Web技術者とはこうあるべきだとか、W3Cはこうあるべきだとか、そういった世界への欲求を入れてしまってはいけない。

必要なのは事実の積み重ね。当たり前なことの積み重ね。一片の野心もなければ、一片の希望もない文章。



この仕事が終わったら、もっと笑える企画を作って出版社に持ち込んでみよう。

たとえば「Javaで造るバーチャル彼女!? 〜自然言語処理の有効な使い途〜」とか、どうだろう。Javaの基礎から初めて、携帯素解析、係り受け解析、マルコフ連鎖、Wikipediaマイニング、コーパスを150ページくらいで説明して、あとはダウンロードできる便利なソフトウェアを組み合わせてTwitterのつぶやきに答えるプログラムを提示する。最後に機械学習や計算手法のざっとした説明をして、教育によってはもっと精度を上げられる可能性がありますと書いて終了。

うん、タイトルで煽っていながら中身はありきたりという、なかなかに良い構成だ。

そういえば女子高生がドラッカーを読んだらみたいな本が売れていたな。それにあやかって、「女子高生がストールマン教に入信したら」というタイトルでオープンソースを語るとかどうだろう。

なんかイロモノ系ばっかだな。でも、イロモノならジョークも書けるしもう少し楽しいんじゃないかなぁと思う。



暑い日が続いて、家のポトスが元気そうにしている。

このポトスは買ってから2年ちょっと経つのだけど、ちゃんと冬を2回越して、春先までは少しずつ葉を減らしていたけど、夏になったらちゃんと元気になってくれた。

家に植物があるというのは、良いことだと思う。これは年収が上がって良かったと思えたことベスト3のうちの1つだ。

・植物を買う余裕があること
・ティッシュが保湿になること
・歯ブラシが電動になること

使えるお金に余裕が出来てみて、良かったなぁと実感できたことはこの3つ。ポトスが元気そうにしているのを見るのは、特に嬉しいことだ。