「Twitterって面白いの?」と聞かれると、私は回答に困る。回答ができないわけではなく、説明が面倒なのだ。
Twitterにはいくつもの顔がある。インフラとしてのTwitter。コミュニケーションツールとしてのTwitter。情報公開ツールとしてのTwitter。情報収集ツールとしてのTwitter。
Twitterという言葉を聞いて真っ先に思いつくのは、コミュニケーションツールとしてのTwitterではないだろうか。誰かをフォローして、フォローされて、タイムラインを眺めて、Tweetして、それに誰かが反応して、応答してといった使い途である。
これを仮に双方向コミュニケーションツールとしてのTwitterと呼ぶことにしよう。
私はこの双方向コミュニケーションが苦手である。ネットで人と意見のやり取りをするのは誤解を生むことが多いし、やり取りが2往復する頃には面倒になって「OK、わかった。今から日本酒持ってそっち行くから飲みながら話をしよう」と思ってしまう。
だから双方向Twitterについてはあまり手を出す気が起きない。
Twitterを面白くないと思う人の多くは、私と同じくインターネットでの双方向コミュニケーションを苦手としていたり、興味を持てなかったりするのではないだろうか。
もしくは楽しいと感じられるコミュニケーションツールに仕立て上げる以前にギブアップしたか。Twitterを立派な双方向コミュニケーションツールに仕立て上げるには自発的にいくらかの努力をする必要がある。ちょっと敷居の高いサービスではある。
私のように双方向コミュニケーションツールのTwitterに挫折したとしても、Twitterには他の用途が残っている。
例えば情報収集ツールとして。
企業が何かプレスリリースを出した際にその反応を知りたければ、Twitterで関連ワードを検索して眺めておくと便利だ。スポーツ番組を見ている時に関連ワードで検索をかけると、応援している人のメッセージが次々と流れてこれも面白い。
リアルタイムで今起こっている事象に関する多数の感想を取れる。これはググってもヒットさせるのが難しい、Twitterならではの情報と言えるのではないだろうか。
また、Twitterで収集できる非常に価値がある情報として「有名人の思考方法」と接することができるという点が挙げられる。成功者の思考方法というのは真似すると何かと良い結果を生むことが多い。有名人をフォローしてタイムラインを眺めていれば、彼らの思考方法、思考パターンみたいなものが自然と頭に入ってくる。これはそれなりに価値がある情報だと思われる。
検索をしたり有名人をフォローするという行為は、双方向性のない、メッセージを受け取るだけの行為である。これを仮に、単方向コミュニケーションツールとしてのTwitterと呼ぶことにしよう。
私はこの単方向Twitterを気に入っている。前述のようにググることによって得られる情報とはまた違った質の情報を取ることができるからである。Twitterの公式検索は検索対象期間が短いので、ググるのと比べると汎用性に欠けるが、その分、リアルタイムで発生している事象については高い性能を誇る。
以前、Twitterは擬似同期サービスにあたると書いたことがあるが、それはタイムラインに情報が一定期間残ることから時間軸が多少ズレてもメッセージが共有できるという意味で擬似同期と呼んでいた。だが、リアルタイム検索の性能が上がった今では、テレビ番組やスポーツイベントなど、世の中のたいていの現象に対して同期することができてしまうという性質を見せている。
人気歌手の公演、Ustreamの番組、話題になっているニュース記事、さっき誰かが撮った綺麗な写真。何にでもTwitterは同期できてしまう。その姿は実にWeb的だと私は感じる。
Twitterの特性として「あいさつ」や「○○なう」のような不要な情報が交じる率が高いことから、日常的に使う情報収集ツールとしての性能はSBMよりも劣り、調べごとをするにはググるよりも劣る。
ただ、ググるともSBMとも2ちゃんねるとも違う質の情報が取れるという意味で、Twitterはたいへん重要なサービスである。
という感じで、あっさり説明したつもりなのだけどえらく長くなってしまった。口頭で都度質問を受けながらこれを説明をしたらもっと長くなるだろうし、聞いている相手はきっと途中で眠くなると思う。