絶賛仕事探し中。データマイニング、自然言語、全文検索、Scalaあたりで探してる。いつ頃自分の身体が空くかがまだ確定してないので、今は担当者さんに見てもらう用のページを作ったり、Three.jsで人目を引くものでも作ろうとしてみたり。10月か遅くとも11月には空くはず。
1年前まで研究所っぽいところにいて、ちょっと浮世離れしてしまったところがあった。この1年はかなり現実的な仕事をしてきた。どちらも役に立つ知識が身につくし、片方だけで良いというものでもないと思う。繰り返し身を置いて、どちらの感覚も持っていられたらいい。
次はまた少し専門的な方向にシフトしてみたい。
最近、仲の良かった女性と若干疎遠になり、1人でいる時間が増えた。するとプログラムを書く時間が増えた。
これは良いことだろうか。それとも悪いことだろうか。悩ましいところだ。満たされない状態になると、自分の学習意欲や仕事への意欲は向上する。
人生がうまくいっているとやる気が減る。トラブルが起きるとやる気が増す。この傾向はどうしたものか。以前はこれを利用してあえて自分を厳しい状況に追い込むことでやる気のコントロールをしてきたが、自分をわざわざ苦しい状態に追い込んでばかりいると「これって単にドMなだけなんじゃない?」という疑問も湧いてきたりする。
満たされて気力が湧かなくなった状態というのは、適度に追い込まれた状況にいるよりも、ずっと辛い。おそらく私は、人生には適度にぶって欲しいと望んでいるのだろう。あかん、変態だ。変態がおる。
というわけで異性の友達も探さなきゃだ。一緒に買い物行ったり映画見に行ったりできる人。出会いを探すのはけっこう面倒。仕事を探すより面倒。
ダン・ブラウンのロストシンボルを読む。ダン・ブラウンの小説はどれもプロットがとてもよくできていて、主人公を最初から最後まで危機的状況に置いたまま、展開に展開を重ねるようになっている。そこに受けの良さそうなコンクラーベやモナリザやフリーメイソンを被せてくるので、そりゃ売れるよなという仕上がりになる。これくらいプロットが作れるなら、他の題材を扱ってもきっとうまく書けてしまうのだろう。
人工知能を主題にして似たプロットを夢想してみる。主人公は鯖缶をやっている。ある日の深夜、サーバでアラートが出る。自宅からVPS経由で社内のモニタリングアプリを確認すると、侵入の形跡が見られた。慌ててタクシーで会社へ急行しサーバを確認すると(サーバには社内の特定の端末からしかログインできない)、今まさにサーバ内で何者かがコマンドを実行している最中だった。サービスを止めることになるが(おそらく数百万円の損害は出るが)、背に腹は変えられない。shutdownコマンドを打つ。
上司を電話で起こし、早朝から対応を協議する。警察にも通報し調査を開始する。調べ始めてすぐに、不思議な調査結果が出てくる。サーバには確かに誰かが侵入しており、実行したコマンドの履歴も残っている。データベースの内容を確認したり、サーバソフトウェアのバージョンを表示しており、人が目視で構成を確認していたように見える。
では、犯人はどこから接続していたのか。専用線が繋がっている会社の端末から接続するか、データセンターまで行って直接本体を操作するしか方法はない。主人公が深夜に急行した時、会社には誰もいなかった。そしてネットワークの履歴には、主人公がログインするまで外部から誰かがサーバに侵入した形跡はない。データセンターに誰かが侵入した形跡もない。
あの時間、サーバを操作していたのは、誰だ?
幸い、データが盗まれた形跡はない。警察から情報を求められたので、状況を説明しログを開示する。数日語、警察から聴取を受ける。聴取を終えて会社に戻ると、自分の仕事用の端末がなくなっている。あの時間、サーバを操作できたのは、履歴を操作することができたのは、物理的に主人公しかいない。当面パソコンを使わない作業を担当するように言われる。周囲の対応が変わっていく。同僚が目を見て話さなくなる。明らかに疑われている。自分が犯人ではない証拠を探そうにも調べる権限がない。
そんな時に、類似の事件を知っているとする人物からコンタクトがある。その人物は犯人は人工知能だと主張する。何ヶ月も前に侵入し潜伏した人工知能が急に活動を始めたのだと。主人公は馬鹿馬鹿しい話だと一蹴する。男はこう説明する。サーバに侵入して情報を盗む工程を自動化したいと考えている連中は山ほどいる。彼らの中には恐ろしく頭のキレるヤツもいる。今の人工知能研究は、既に人間では「インプットに対してどんなアウトプットが生まれるか予測できない」領域に来ている。どういった学習をさせることで、どういった振る舞いを見せるのか。人間には理解できない。結果を分析して判断することしかできない。
無限匹の猿がタイプライターを叩けば、シェイクスピアが出来上がる。では、何人の人工知能に手を出すクラッカーがいれば、人のように振る舞いサーバに侵入するソフトウェアが作れる? そして重要なのはどうやってヤツが作られたかじゃない。ヤツは何をしようとし、何になろうとしているかだ。ヤツは姿を変えながら世界中に広まっている。自身のコピーを残しながら変容していくワームはこれまでもいくつもあった。それらはたいていすぐに対策が施され姿を消した。だが、ヤツはほとんど悪事を働かない。だから存在に気づかれない。いくつかの発見事例は出ているが、それぞれの構成や振る舞いが違い過ぎる為に専門家も同種のワームだと気づけていない。
これからヤツは、何をするワームへと成長する? 誰にも予測なんかできやしない。人工知能は局所的に人間に勝る賢さを見せてきた。チェスで世界王者に勝ち、クイズ番組で優勝し、東大の入試で人間よりいい成績を出す日も近いだろうなんて言われている。セキュリティの専門家たちは、ヤツに勝つことができるのか? 今はまだ勝てたとしても、いつまで抑えこんでいられるのか?
だいたいこんな感じの序盤になるんじゃないだろうか。適当だけど。
この後は主人公が危機的な状況に陥る展開を連ねていけば、人工知能が犯罪を犯し、それを防ぎつつ自分の無罪も勝ち取ろうとする男の話が出来上がる。現実味はあまりないけど、ITをかじった程度の人に対して真実味を持たせられるような表現の仕方はいくらでもあるだろう。
「モリスワームは一晩でインターネットを崩壊させた。1人の学生の好奇心がそれを引き起こしたんだ」
「毎週いくつのセキュリティホールが報告されてるか知ってるか?」
「将棋を指すAIについて知ってるか? あれの作者たちはもう、自分の作ったAIが強いか弱いかわからないんだ。進歩し過ぎて人間じゃ理解できなくなってるんだ」
といった感じで。
しかし締めの部分が問題だ。こういったシナリオでは最後にグローバルに危険な状態が発覚するものの、主人公の機転で解決するというのがお約束だ。中盤で伏線を引いておいて後半で判明して、ギリギリで阻止する流れが理想的。
どうしたものか。