2013年10月19日

台風前日の会社の対応

先日、台風が来た際にぶらぶらと駅まで行ってみたら、電車が運行停止になっていて、改札の前に行列ができていた。

日本人は真面目というか、とりあえずルール通りに動くようにハードコーディングされているので、「状況に応じて出社してください」とアナウンスするだけだと、多くの社員は動いていない駅で行列を作ることになる。

サービス業などのどうしても出社が必要になる企業は別として、たとえば私がやってるプログラマなんかは仕事は時間を後ろにずらせば済む話なので、電車が復旧するまで家でお茶でも飲んでるか本でも読んでるかして、ゆったり出社すればいいのだが、現実はなかなかそうなってはいないようだ。



これまでいろんな企業に常駐してきたけど、台風前日の対応というのは会社や上司次第でけっこう違いが見られた。その中で、ゆとりを持って出社させることに効果があった方法もあるし、まったく効果がなかった方法もある。

まず、メールで「無理せずに安全に出社しましょう」と周知するだけでは、ほとんど効果はない。ある程度立場がある人はゆったりと重役出勤することも多いが、立場の弱い若手の社員や派遣の人はあまりゆったりできない心理状態にある場合も多い。

個人的に見た範囲では、下記のような対応は効果があることを確認できた。



1. 前日に何時出社にするかチームで取り決める

日本人は決められたルールには従う。ということで、前日の夕方に台風の予想進路を見ながら何時に出社するかチームで取り決めてしまうことがあった。

まずリーダーが「予想だと9時くらいに通過だから、下手すると12時くらいまで電車止まるかもなぁ」といったことを言って、「じゃ、13時に家を出たとして、何時に会社着く?」というように動き出す時間を決める。そこから各人の出社時間を逆算する。

余裕を持って出社時間を決めておくことで、確実に社員を交通が落ち着いてから出社させることができていた。



2. 有給/代休の消化を推奨する

「明日は台風が接近する為、電車が動かなくなる可能性があります。業務に支障がない場合は、有給/代休を利用しましょう」

というような内容のメールが回ってくる。声かけも行われて「明日、有給取る? 半休にしとく?」といった会話がされる。

どうせ当日は集中して仕事ができる状態ではないので、こうしたタイミングで有給を消化してくれた方が会社としても良いのだろう。

メールだけで効果があるかはわからないが、声かけも行なって無理に出社することがないように注意が払われていた。



3. 生贄を選出する

部署全体で人が誰もいない状態になるのは困るので、家が近く出社が容易な人間をあらかじめ「生贄」として選出しておき定時に出社してもらう。その他の人は落ち着いてからゆっくり出社すれば良いというルールが作られている会社もあった。

台風の到着が予想されると、前日に家が近い人たちが集められて、明日の生贄は誰かが相談される。

生贄に選ばれた人以外は出社の義務はなく、電車の運行情報を見ながら近辺路線が落ち着くまでは自宅で待機することになっていた。会社的な対応は生贄がやるので、他の人は彼らに感謝しながらゆっくり出社しようという考え方。この時、安否確認の意味も含めて家を出る際にメールを入れることは義務付けられていた。



番外. 会社に泊まる

社員が5人くらいの小さい会社でのお話。マンションの一室を事務所として利用していたので、浴室有り、寝袋完備。

「明日、台風来るんだよねぇ」という話になると「明日は夜から来るわ」とか「面倒だから泊まるわ」という話になった。小さい会社はフリーダムで良いね。



まとめ

社員にこうして欲しいと思った場合は、メールで全体に周知するだけではなかなか伝わらない。

私もその会社とある程度の関係が築けていれば「明日は昼まで寝てるんで来るの遅くなります」と言えるけど、契約したてだったり心象が芳しくない時は、あまり強くも言えないことがしばしばである。

立場が弱いとちょっとした心象のマイナスでも気にしなければいけなくなるので、そういう立場の人にもきちんと伝わるように、声かけをしたりルール化すると、無駄な朝の風景も少しは緩和されるのではないだろうか。