これもポメラに残っていた文章。
マスに向けて発信する情報は基本的に「誰にでもわかる」情報でなければいけない。
マスメディアなり大手のブログはたくさんの人に記事を読んでもらうことで商売を成り立たせている。大半の人が「難しすぎて何が書いてあるのかわからない」と感じるような情報では、読者が限定されてしまい商売にならない。
言い換えると、世の中では「誰にでもわかる」内容以外の話題はそうそう流行らない、ということになる。
難しい専門用語が飛び交う内容や、学会の最先端の情報などは伝播せず、せいぜいそれを噛み砕いてわかりやすくした資料や、科学的に活躍した人に関する誰にでも伝わりそうな逸話が紹介される程度である。割烹着の話題などはマスにとって調度良いものだろう。
しかし現代ではソーシャルサービスと呼ばれる、人と人との繋がりによって情報が伝播する仕組みが築かれている。ソーシャルサービスではマスを対象としたものではないよりニッチな情報が、それを必要としている人の間でだけ流行する。
私は「はてなブックマーク」と「Twitter」を利用してそうした情報を収集している。たとえば私のはてなブックマークのタイムラインは、下記URLのようになっている。
http://b.hatena.ne.jp/mwsoft/favorite
この記事を書いているタイミングで流れていた記事は、「Haskell」「モナド」「Scala」「NLP」「Deep Learning」「パーセプトロン」など、私が興味を持っているジャンルの記事が大半を占めてくれている。
こうした記事の多くはその分野について時間をかけて学習している人たちによって書かれている。知らない単語も多くでてきて読むのは大変だが、非常に勉強になるし、「これだけ勉強している人がいるのか。これは私も負けていられないぞ」といった刺激を受けることもできる。
このようにソーシャルサービスを用いると、自分よりも賢い人々が発信している情報で身の回りを埋め尽くすことができる。
Twitterの場合は多少紛れが多く、役に立つ情報と役に立たない情報が混ざって流れることが多い。ある程度フィルタを噛ませたり、フォローする相手を考えないといけない。
記事の内容が政治だろうと経済だろうと、マスになってしまえばいわゆる「自転車置き場の色」に視線がいって、重要なことが置き去りにされてしまうのは、社会というものの性質上仕方のないことだ。なんせそれはFreeBSDのメーリングリストでだって起こってしまうものなのだから。
しかしソーシャルサービスの局地的な箇所で流れている役に立つ情報(読むのに少し骨が折れるものが望ましい。骨が折れない文書には、役に立つように見えて実は当たり障りのないことが並んでいるだけのものも多いので)を中心に見るようにすれば、世の中の見え方は大きく変わる。
もしソーシャルサービスを使っていて「世の中は頭が悪い」と感じる人がいたとしたら、その人は目線を下に向けてしまっているのだろう。目線を少し上にして良い人をフォローして回れば、すぐに「世の中は賢い」という印象に変化することだろう。